2年が経過して / 社長室の広報①

こんにちは。古町糀製造所の小畑です。

私が法人代表の任を受けたのが20218月。およそ2年の月日が経ちまして、行ってきたことや考えたことを少し整理しようと思います。お暇な時間にお付き合いくださいませ。

創業時からしばらくの事業経緯はこちらのページにてご案内しております。

 

私はもともと、当社の持ち株会社(親会社)にあたる(株)NSGホールディングスに入社しました。新潟で生まれ育ち、学生時代には首都圏での生活も経験し、また日本各地の様子を訪ね歩きました。地元である新潟で事業活動を通してこの町の発展に寄与していきたい。そのような想いを抱えています。

「新潟を世界で一番豊かな街にする」そんな創業者のビジョンに強く感銘を受けました。

2019年の5月より法人出向の形で当社の運営に携わっていますので、約4年半の期間甘酒の事業に関わってきました。

甘酒という商材を通じて、どのようにこれを果たすことができるのか、はじめはモヤが掛かったように見えていましたが、少しずつこの視界もクリアになってきました。

 

 

 

甘酒を通して表現できたこと

ご承知の通り糀甘酒という商材には多様な側面があります。

「新潟を代表する農業(とりわけ米産業)や醸造産業の一部」

「フレーバー素材との組み合わせによる多種多様な商品展開の可能性」

「健康や美容といった期待への貢献」

そして何より

「美味しい食品として皆様の豊かな生活に少しでもお手伝いができること」

様々な角度から見える糀甘酒の姿。

 

創業の当時はまだまだ「糀甘酒」に対する認知そのものも進んでいない状況にありましたが、おかげさまでより一般に広く浸透し、こういった観点はある程度のレベルで共有されつつあると感じています。

当社は甘酒専門店としてこれらをしっかり認識し、発信し、また具体の商品として提供することでその価値を伝えていく。そのような責務を負っていると考えています。

 

 

私がまずもって取り組んだのは、フレーバー商品の展開を通して新潟の産品をお伝えしていくということでした。新潟でこの商いを行う意味は何だろうかと問うたときに、もちろん「米どころ」として素材の質に優れているのは言うまでもありませんが、それ以上のポテンシャルを発揮する余地があると考えています。

幸いにして当社はそれまでも、様々な素材を添加したフレーバー甘酒商品の開発を行ってまいりました。素材の選定から実際の商品化に至るまで、一定程度のノウハウは社内に有する状態でした。

ご存知の通り2022年の冬からこれを実現することができました。

冬は西洋ナシ「ル レクチェ」

春はイチゴ「越後姫」

夏は枝豆「くろさき茶豆」

そして今秋は、、、乞うご期待です。

 

 

 

いずれも県内では非常に名の通った産品ですが、地域外での認知度はいまいち。

生産量や流通網の整備における課題、加工食品としての展開の薄さ、など諸要因はあるものの、他地域の一流のブランド作物に比較すると一歩足りない、そんな評価が下ってしまうものです。

(夕張メロン、とちおとめ、九条ネギ、宇治抹茶など、産地と名称が全国の消費者に想起される農作物のプロモーションは本当にすごいと思います)

もちろん当社の力だけで「これを全国区のものにする」などという大それたことは考えておりませんが、少なくとも得意技である甘酒を活用して新潟県外にも広くいらっしゃるお客様に向けてこれを知ってもらうきっかけになれば。そんな志で取り組んできたものです。

 

この一年で四季の商品が完成しましたので、この後の展開については一度腰を落ち着けてもう少し考えるつもりです。

 

さらに品目を増やすという選択肢もありますし、他の食品メーカーとも協働して甘酒以外の商品開発という方法もあるかも知れません。それ以上にこのスキームは、新潟県以外の他の地域の農産品の商品化という点でも役に立つことが出来そうです。

 

 

甘酒を通して表現したいこと

私たちがメーカーとして自社で製造できるのは各種甘酒製品のみです。

そのように聞くと「なんてニッチな・・」と思われてしまうかもしれませんが、無限の可能性と言いますか、まだまだ形にしてみたいものが数多くあります。果物や野菜をブレンドしてフレーバー商品を開発するという手法はこれまで相当の実績を積み上げてきましたが、必ずしもその限りではありません。

 

 

例えば、実際の皆様の困りごとにフォーカスした商品の開発などはいかがでしょうか。

 

「不足しがちな栄養素を補う」「プロテイン含有量を高める」「睡眠の質を上げる」

近頃はスーパーの食品売り場でも、このようなフレーズで目を引くパッケージの商品が並んでいます。現代人の困りごとも多種多様だなと、半分感心、半分心配になってしまいますが、それだけ求められているというのも間違いなさそうです。

あくまでイメージしやすい例としてですが、こういったニーズにお応えできるような甘酒商品というのは面白いのかもしれません。

 

一般に栄養補給や筋トレ、ダイエットなどに際して特定の成分を摂取しようとするとサプリメントが真っ先に選択肢に上がると思います。

確かにさっと飲めば目的が達成できるという便利なものではありますが、他方でこれに対する忌避感のようなものを持たれる価値観も同時に存在するものと思います。

いわば科学的に合成された“不自然”な物体を習慣的に口にするのはどうなのか、という考え方ですね。

そして当社のお客様にはどちらかと言うとその価値観に共感してくれる方が多い、というのは肌感覚で感じていることでもあります。

この点、甘酒が貢献できるものが多分にあると考えております。こうじ菌という微生物の力で米の甘みを引き出した飲料は、随分前の時代から愛用されてきた“自然”な食品。

さらに特定の成分を高めたり、あるいは他の食材を添加することで補うことができれば、よりナチュラルに安心して使える「自然派健康補助飲料」のようなものが出来るかも知れません。

まだまだ未経験の分野ですので、進行の取っ掛かりも掴みにくい状態ではありますが、そういった「美味しい」以上の価値をご提供できるような商品作りには大変に興味を抱いています。

 

 

 

会社の運営について

普段あまり表にしませんが、会社の運営についてもこっそり振り返ります。

関与し始めた当初(2019年春)から実は激動が続いておりまして、当時は組織再編の直後というタイミングでした。

もともとこのお店は、東京銀座でおにぎりや弁当の商売を営む会社の新規事業として始まりました。しばらくの間は同じ会社に「おにぎり事業部」と「甘酒事業部」があったようなイメージです。創業の当時都内の百貨店などで頻繁にポップアップストアの運営をしていたのもその経緯からです。

そして当初は自社に製造設備が無く、甘酒の製造は他の会社に委託していました。

状況の変化に伴い、この両事業を切り離すと同時に、製造設備を導入してメーカーの事業形態をとることになります(もう少しややこしい経緯がありますが割愛します)。

それからほどなく、というタイミングで着任しましたので、組織整備など含めて中々にバタついたところからのスタートでした。

 

 

それがひと段落したと思った2020年の初頭、不穏なニュースが流れます。

それがCOVID-19のパンデミックに関するもの。

事の顛末は記載するまでもありませんが、他の事業者の例にもれず、少なからぬ影響を受けたことは間違いありません。

新潟で運営する店舗の客足は一時パタリと止まり、また観光関連施設への納入が多かった小売店への卸販売も同様の足跡をたどりました。

幸いにしてオンラインショップを通しての販売はむしろ追い風を受けたような格好でしたので、何とか踏みとどまったというような状況でした。改めて感謝申し上げます。

 

その後は社会とCOVID-19との関係性に一喜一憂しながら、時には恩恵も受け、時には煽りを受け、感染症法上の第5類移行を迎えることになります。

その反動もあるのでしょうか。2023年の春以降は来客の皆様も感染症禍以前の水準に戻り、以前の姿を取り戻したような状況です。

 

 

 

長々とお付き合いいただきありがとうございます。

今後も「社長室の広報」と題して気ままに、気になった話題等について文章を綴ってまいります。どうぞお楽しみに。

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